私の目は少々普通の人と違っています。
先天性の内斜視で、左目がぐっと中央に寄っています。若い頃の視力は右目は1.0ほどで、左目は0.02くらい。裸眼で遠近両用メガネ状態でした。
先天性の内斜視の視力と両眼視
私の目は、先天的に左右で位置が違うため、脳が目から送られる情報を選択。効き目である右目の情報を利用するようにした結果、右目の視力は発達し左目の視力は発達しなかったようです。
目から脳に情報が行くだけでなく、脳から「もっと上も見て」など指令が送られ眼球が動くといった相互作用があるそうで、左目は脳にほたらかされて、ぼ~っとしている間に、そのまま大人になってしまいました。
私の場合、派手な内斜視の割には左目も矯正できる程度の視力はあります。
ただし「両目でものを見る(両眼視)」ということが、どうすればできるのかわかりません。
子どもの頃に流行った3Dメガネ(赤と青のフィルムが片方ずつ貼られたもの)をかけると、「赤の景色」が見え、意識して見る目を入れ替えると「青の景色」が見えるといった具合。
「飛び出して見える~!」などと友達と一緒に盛り上がりつつも、「どこが立体に見えるのかな??」と思っていました。
見た目でいじめられるだけではない、内斜視で困ること
子どもの頃、気持ち悪がられるし、いじめられるし、写真うつりがひどいし、とにかく見た目が嫌で、なんとか治らないかと眼球ぐるぐる体操だとか遠くと近くを交互に見るとか、その頃良いと言われてたことをやっていましたが、効果なしでした。
ぎょっ!とされることは、今でもあります。慣れたので笑顔でかえしますが、ハートが弱っている時は、まれに、傷つくこともあります。
先に触れたように、内斜視のために両眼視ができないと、立体的にものを見たり、距離感をつかむことが難しくなります。
運動が得意ではなかったせいかもしれませんが、平均台は真っ直ぐに見えないし、跳び箱はどこに手をつくかわからないし、体育は怖いことが多く、「自分はできないことばっかりで、グズでドジで・・」と悲観的な小学時代を過ごしました。
運転免許は取得しましたが、視力矯正しても、とっさの時に左側が見えないことが恐ろしくて、結局ずっと乗らないままです。
先天的な見え方の違いは自覚できない
見た目が変なのは鏡を見ればわかるのですが、見え方が人と違うという点はなかなか自覚できるものではありません。
生まれた時からこの景色しか見たことがないので、「どんな風に見えるの?」と訊ねられても説明するのは難しいです。大多数の人が見ている「普通の景色」を知る術がないので、違いがわかりません。
困っていることを聞かれても、普通に見えれば困らないのか?すらわからないのです。
子どもの頃、校長先生のお話が長いと、見る目を左右入れ替えて先生の「瞬間移動」を密かに楽しんでいましたが、みんなもできるのだと思っていました。
中学生の頃、友達に話して初めて何かおかしいことに気付きましたが、時すでに遅しだったようです。
現在は、幼児の頃に気付き、適切な対応がされることが多いのだと思います。
見た目は大人になって手術で治せても、見え方は幼児期のうちに対応しないと間に合いません。
もしも、お子さんの目で気になることがあったら、訴えがなくても受診してみてほしいなと思っています。
まあ、大人になれば、こんな眼でも平穏に生きていけるのですが、普通の眼で見る世界が、私が見ている景色よりすごく美しいのだとしたら、ちょっと悔しい気もします。
「内斜視で近視」と「遠視で老眼」のコラボレーション?
普段の生活は右目に頼り、右目では見えにくい近距離の文字は近視の左目でカバーという、一人遠近両用メガネ状態で過ごしてきましたが、ここ3年ほどの間に頼りの右目がどんどん見えなくなりました。
買い物に行くと、個々の商品の値札が見えない、レジの金額も見えない。スマホも文字が「大」で、電車で隣の人でも私のメールがらくらく読めそう・・・
同僚とランチバイキングに行っても、各皿の説明書きが読めず何がのってるのか謎。ロシアンルーレットバイキング状態で、どきどきです。
華麗なルーペのCMではないけれど、「小さすぎて読めなーーい!」
これは、もしかして老眼?遠視の右目は頼られ過ぎて、すっかり年を取ってしまって、得意分野の超近距離だけ頑張ってた左目は割と元気。
老眼と近視のメガネって難しそうなので、とりあえず眼科に行ってみようと思っています。
●いち小石の体験談です。全ての内斜視の人が同じ症状ではありませんので、こんな人もいるんだな~くらいのお気持ちで、読んでいただけると幸いです。
※2018/10/19 リライトしました。