小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

「まんが日本昔ばなし」と父の思い出ばなし

食べ盛りの息子は、最近たっぷり食べたいらしく、モリモリっ!とごはんをよそいます。
おかわりもしますが、まずは上手にてんこ盛り。

 「まんが日本昔ばなし」でよく見かけたごはんみたいです。なんだか懐かしい。

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「まんが日本昔ばなし」は見てもOKだった子ども時代

もう40年ほど前、「まんが日本昔ばなし」は確か土曜日の夜7時~30分間。
毎週楽しみにしていた私は、まだ小学生でした。

大柄で厳格で滅多に怒らないのにとにかく怖い亭主関白の父、
細くて身体が弱くてよく寝込む結構厳しい専業主婦の母、
3人の兄、一つ違いの姉と私という家族。

我が家は全て父を中心に回っている感じで、新聞読むのもお風呂も何もかも父が最優先。
子どもにチャンネル権なんてありません。(もちろんテレビは1家に1台!)

夕飯はほぼ7時~。食事できる居間にはテレビがあり、基本的にNHKのニュースがついています。
その流れで、7時30分からは「連想ゲーム」とか、NHKのお楽しみ番組。
8時からは民放で時代劇、刑事ものになるので、子どもは退散させられます。

見られても、すばらしい世界旅行とか「知識つく系」で、お笑いやバラエティなんてもってのほか。

おかげで、子どもらしくない変な知識はつくけど、歌(演歌以外)もアニメもわからず、学校で友達と話が合いません。

しかし、何故か「まんが日本昔ばなし」だけはOKだったのです。NHKじゃないのに!アニメなのに!
理由はわかりません。藪蛇になりそうなので、聞かないのが兄弟の暗黙のルールです。

嬉しくて夢中になり、いつしか箸が止まり・・「まだ食べ終わってないの?」と、しょっちゅう母に叱られていました。

2話目に時々暗い話や怖い話があるので、話の冒頭が楽しいメロディの時はいいけど、
CMの後静かな音楽が流れると「あぁ..ちょっと損した気分...」と思っていました。

  

やがて、なぜか「ドラえもん」もOKになりましたし、NHKのアニメは(未来少年コナンとか、ニルスの不思議な旅とか…)見ていました。

父が帰宅するまでは、母の目を盗んで、兄たちとマジンガーシリーズも見ましたが、
「まんが日本昔ばなし」は、なんだか思い出の中で特別枠です。 

厳格な父も娘の扱いに戸惑っていたのかも

厳しい家、息のつまりそうな田舎を出たいという一心で勉強して、県外の大学に合格。
何とか進学させてもらい、18歳から一人暮らしを始めました。

奨学金もらうため勉強も手を抜けないし、サークル、アルバイトと大学生らしい多忙な日々。
出たくてたまらなかった故郷だし、旅費ももったいなくて滅多に帰りませんでしたが、それでも長期休みは、さすがにちょっと帰省します。 

20歳頃、帰省していた時のこと。

奥の部屋にいると、「おーーい」と、居間にいる父の呼ぶ声がします。
亭主関白なので、居間に寝転んで子どもや母を呼び付け、あれこれ用事を言いつける父。

内心(もぉ、また『お茶ついで』かな?『新聞取って』かな?自分で動いたらいいのに!)と思っていたら、

「おーーい!始まるぞーー!」 

・・はぃ? なにが?と思いつつ居間に行くと、

♪「ぼおやぁ~よい子だ ねんねしな・・・」
とテレビから懐かしいメロディが。

そして、「ほーらチャンネル変えてやったぞ!」とでも言いたげな、
喜ぶのを待ってる風の(厳しい顔なので露骨にはわからない)父。

「いやいや、あなたの娘もう大学生ですよ。」
と思いつつ、無碍にするのもなんなので、一緒に楽しみました。 

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両親はもう他界し、聞くことはできませんが、家を飛び出して離れていく娘とどうやってコミュニケーションをとったらいいのか、
父も戸惑っていたのかもしれません。

あのほっこりとした時間を一緒に過ごせたのは、あの長寿番組があったおかげかな~
と、しみじみ感じます。

 

二男に、てんこ盛りごはんを「まんが日本昔ばなし」みたいだと言うと、
「あーそれなんか聞いたことある。でも今は『マンガみたい』って言うよ。」だそうです。

「そのマンガの原点が、「まんが日本昔ばなし」なのよっ!」て思ったけれど、
なんでも反抗期の二男がつっかかってきそうなので、思うだけにしておきます。

ほんさき