小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

高齢の父から免許を無理やり取り上げた時のこと(前編)

高齢者の運転による事故のニュースが後をたちません。

年齢で一括りにできない部分もあるし、若い人の暴走や、飲酒運転の事故だって数は多いといった反論も承知していますが、加齢による事故が起きているのは事実と思います。

ニュースを目にする度に、運転が好きだった父(故人)から実質無理やりに免許を取り上げてしまった時のことを思い出します。

決して間違っていなかったという思いにすがりついていますが、父が年老いたことを改めて目の当たりにした寂しさが、今でも胸に蘇ります。

 

車がないと生活できない田舎へ親が引っ越す

私の両親は70歳を機に、JRが1時間に1本あるかないかの場所(私の過ごした家)から、さらに辺鄙な田舎へ引っ越しました。 

父は、身体の弱い母のため、母の実家があった、より静かな土地に小さな家を建てました。畑仕事しながら悠々自適に過ごすことを夢見て。

最寄り駅から車で20分(銀行もこの辺)

バスは1日に3便(7時と8時と15時:日祝運休)

スーパーや、かかりつけの総合病院まで車で20分

近くに小さなクリニックや、個人商店、郵便局はあるとはいえ、母が歩くと30分はかかります。行き倒れてしまいます。車がないと生活できないところでした。

 

それでも5,6年は、父が運転し、2人で何とか過ごしていました。

好奇心旺盛な父は、1時間ほど運転して市街地に行き、パソコン機器などを自分であれこれ研究し、購入することも楽しみにしていました。

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ドアミラーがない!

母の身体が心配で、時折私だけで手伝いに帰っていましたが、いつも父が駅まで迎えに来てくれていました。

助手席に乗る毎に、運転する父の、周囲を感知する反応が鈍くなり、ブレーキを踏むタイミングが遅くなることを感じていました。

ある時、迎えに来てくれた車を見ると片方のドアミラーがない!

「どこで、何にぶつかったかわからない」と言うではありませんか!

ご近所の方からは、先日道端の小さな側溝に落ちてしまっていたことを伝えられ、そろそろ運転は危ないのでは?と、こっそり助言されてしまいました。

 

ここからは、よくある光景。

私がいくら説得を試みても、大丈夫だ!の一点張り。絶対に運転を辞めることは認めません。

運転が上手いという自負

自分が母を守らなければ!という思い

思うように歩けなくなってきている自分の身体

 

わかるけど、でも、ドアミラーなくなってるよ!人にぶつかっていたらどうするの?誰かを傷つけてしまうかもしれないんだよ!!

実家に帰っている間は説得することができても、私が戻れば元の生活に戻ります。

 

そして、本当は私自身も、「まだ何とか頑張ってもらえないだろうか」という気持ちがありました。

県外のため、実家に帰るには5~6時間かかる。下の子はまだ保育園、夫に仕事を調整してもらわなければ帰れない。自分の仕事もある。第一、私が何とか帰ったところで、運転はできない。

 

父が運転を辞めたら、2人の生活をどうすればいいのかわからず、ズルズルと目を背けていたのです。

 

そうこうしていたある時、身体の弱い母ではなく、父が急遽、入院することになりました。

 

※長くなってしまったので、次回に続きます。