小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

中3だった私が悩んでいた「優しい」ということ

前の記事で「中学生の頃の私が何を言いたかったのか、次回書きたい」などと、自分でハードルを上げるようなことを書いてしまい、

「それで、結局自分は何を言いたかったんだ?」と、ドツボにはまっているところです。 

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人前で泣いてはいけないと思っていた

 はっきりいつ頃からか記憶にないのですが、「人前で泣いてはいけない」と思っていました。そう言われていたのかもしれません。

自分の感情を安心してさらけ出せない環境だったといえば、そうだったと思います。

涙が出そうになると「我慢しなきゃ」と必死でこらえ、そのうちに、感情を押し殺すようになりました。

「人前」には、当然家族も含まれます。兄姉が多くてなかなか一人になれない私が涙を流すのは、布団の中かお風呂かトイレくらい。

家族の私への評価は、チビで(末っ子だから仕方ないじゃん!)ブスで(これもしょうがないじゃん)、性格が強情で可愛げがない(泣かないから)でした。

 

何も感じてないわけじゃないけれど

中学生になったばかりの頃、母方の祖母が他界しました。

病院に張り付いていた母から電話があり、自宅待機していた姉と私の二人で、田舎から街の病院に行くことに。

「中学校に電話して、戸締りして、電車乗って・・・」と、やることで頭一杯の私と、「おばあちゃんが死んじゃった」と泣いている姉。

仕方ないので、学校に電話して、戸締りしていたのですが、「こんな時に泣かない冷たい人間だ」と、そりゃあもう、人ではないかのごとく責められ(たと感じ)ました。

 

同じ頃、飼っていた猫が交通事故で突然亡くなりました。

学校から帰って、母から聞かされても受け入れられず、ただショックだったのですが、これまた泣き崩れる姉たちに、またしても冷酷非道な人間だと言わんばかりに責められ(たと感じ)ました。

 

祖母は「もう危ない」と聞いていたから覚悟ができていたし、やることやらないと!と緊張して泣くどころじゃなかった。

猫は突然過ぎて受け入れられなくて、ふとした瞬間に思い出しては、悲しくて布団の中で涙が出たりもしてたんだけどな。

 

何も感じてないわけじゃないけれど、家庭でも学校でも、冷たいと言われる。言われるというより、非難される。まるで人の心を持っていないかのように。

でも、私も一応心はあるから、それなりに傷ついている(泣かないけどね)。

こんなに私を傷つける「優しい人たち」は優しいのか?「優しい」ってなんなんだろう。

 悲しいとか辛いからって、こっちに処理しきれない自分の感情向けるなよ!同じ感情を持ち、同じ表現しなきゃダメってなんなんだよ!

 

今となっては、恥ずかしいくらい純粋に悩み憤っていた私が、劇で言いたかったことは、

「泣かなくたって、私だって悲しいって思ってるんだよ!」という単純な訴えだったと思います。

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それぞれの優しさでいいんじゃないか

親が亡くなった時も、同じような場面が繰り返されたし、職場でも、ママ友の付き合いでも、似たようなことは起こります。

 

自分が結構変わっていることは自覚しているので、わざわざ人を刺激するようなことは言いませんが、すぐイベントに(劇で言えば「お墓参り」とか)するタイプが苦手だったりして、同調が上手ではないようで、多分浮いています。

よく言えば冷静。陰口では「冷たい」でしょう。

 

「私だって!・・・」と中学生の頃は思っていました。私にも優しい心がある。あってほしい。

でも、そう思っていること自体「優しくなければいけない」ことにとらわれている気がして、今は「冷たくて結構」と思うようにしています。

私にとっての優しさは、場面によっては冷静さや冷たさが必要なのだから、と。

 

涙にくれる優しさがあっても勿論いいし、ぐっとこらえて笑顔をむける優しさがあってもいい。しなきゃいけないことをやり遂げる冷静な優しさがあってもいい。

自分と違うからと、責めることさえなければ、色々あったほうがむしろいいと思います。

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劇が終わって

頑張った劇だったけど、失敗もちらほら。

演技指導に熱が入り、平手打ち場面は「当日は本当にひっぱたいて!」と言っていたので、その通りに。

その後のセリフが重要だと思ってたのに、本気の平手打ちに会場がザワついてしまって、重要なセリフが聞き取りにくくなってしまいました(涙)。

 

それと、不良少年のハズの上田くん役の男子が、真面目な生徒会役員だったので、どうしても不良っぽい動きができない!

「うるせーんだよ」も迫力無くて、練習で何度もダメ出し。

『うるせんだよぉ!!』でしょ!(怒)」と、「ほんさきさんは実はヤンキーか?」と言われるほど(嘘です)指導してたのですが、最後まで礼儀正しい不良少年でした。

 

母親に感想をきいたら、「よく聞こえなくて、なんかわからんかった」でした。

あなたにもわかってほしかったんだけどね。

 

劇の後、自分が腑抜けになった以外、何も変わらない毎日に戻っただけでした。

 

ある時、30代の音楽の先生(女性)に、廊下ですれ違った時に「あの劇を作ったのはあなたなの?」と急に呼び止められました。

(えっ?なんかマズかった(汗))と焦っていたら、

「すごく良かった! 私、なんか、あの劇見て、すごく泣いてしまったわ!」と、ブンブン握手して去っていかれました。

先生に何があったのか知る由もありませんが、喜んでくれた人が一人いて、ちょっと嬉しかったです。