小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

自転車に乗れない中学生の見たもの

そこそこ貧乏な家あるあるですが、皆が持っていて当たり前の物がなくて困るということが、しばしば起こります。

色々ありましたが、その一つが「自転車」でした。

私は、持っていないだけではありません。小学生の頃、近所で怪我をした子がいて、ヒステリックになった母から「自転車に乗ってはいけません」という命令が下り、乗ることすらできなかったのです。

 

クラブ活動で自転車が必要!?

中学校では、授業の一環としてのクラブ活動がありました。

熱心な授業が好きだった、K先生が率いる「地域学習」のクラブに入ることに。

その頃、小学5,6年の担任が大好きだったことや、勉強が好きだったこともあり、「将来学校の先生になりたいな~」と、漠然と思っていました。K先生のことも、誠実そうで、好感を持っていたのです。

 

クラブの最初の日、「地域を知るために自転車であちこち回ろうと思っている」と、お話がありました。

え・・・自転車いるの?そんなこと決める前に言ってくれたら選ばなかったのに。

 

家にある自転車は、兄の通学用のみ。私には相当大きいサイズ。

それより何より、私は自転車にほとんど乗ったことがない。

どうしよう。

でも、中学生にもなって自転車に乗れないなんて、そして家に自転車がないなんて、教室で言い出せず、悩みながら帰宅。

 

母に相談すると、母が一言

「えー? あんたって自転車にも乗れないのー?」

 

いやいやいやいや。乗るなって命令したの自分だよね。忘れてる??

そもそも、うちに使える自転車ないじゃん!

忠実に守った私がバカだったわけ?

中学生になったら、みんな自動的に自転車乗れるようになるわけ???

ってことは、やっぱり私がダメダメで、運動神経悪いからいけないの??

 

もう、どうしていいかわからない。正直に言うしかない。K先生なら、きっとわかってくれる。

震える手でダイヤルを回し(昭和だ!!)、K先生に電話をしました。

「そうか・・教室で言えなかったんだね。辛かったね。」

先生の優しい言葉に、胸が詰まって話ができません。

 

初回から行くわけじゃないから、練習してみようか?ということで話がまとまりました。

先生にお話して良かった。心の底からそう思ったのです。

 

自転車に乗れないって面白いの?

 K先生にお電話した翌日の放課後のことでした。

日直の仕事で教室に残っていたところに、担任のH先生がやってきました。職員会議の後のようです。

「ほんさき~ お前、自転車乗れないって本当か~?嘘だろ~(笑)」

「…乗れません」

「えっ! ほんとに?中学生のくせに自転車乗れないのか? わはははは・・・」

 

職員会議で話が出たんだな。こんな子がいるって。

そして、それは、爆笑するほど面白い話だったわけ?

 

自分が情けなくて、貧乏が恥ずかしくて、言えなくて苦しくて、やっとの思いで打ち明けたのに。

「辛かったね」って言ってくれたのに。わかってくれたと思ったのに。

 

 大声で笑って去っていく後姿を眺めながら、足元が崩れ去るようでした。

 

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信用できない大人と大切な仲間

自転車の練習が必要だと、部活の仲間に相談すると、笑うどころか皆で練習を手伝ってくれました。

学校近くの子が自分の自転車を持ってきてくれ、部活の後、公園で練習する日が続きました。

中学生にもなって自転車の練習なんて恥ずかしかったのですが、仲間がいてくれたおかげで、人目を気にせず練習できました。

 

クラブで乗る当日。自転車通学の友人が快く自転車を貸してくれ、何とかついていくことができました。

 

 教師なんか信用できない。家族だって信じられない。

私が必要としているのは仲間だ。この仲間を大切にしよう。

 

人付き合いがあまり得意ではなかった私ですが、仲間の存在のありがたさが胸にしみ、反対に、教師や親に反発心を強く抱くようになりました。

 

もう優等生なんてくそくらえだ。大人の言うことなど信じない。

 

今思うと、K先生は、多分真剣に会議でお話になったのだと思います。K先生にまで反発しなくても良かったのに、そんな余裕はありませんでした。

 

 担任のH先生は、その翌年のクラブ説明の時に、わざわざ私の隣で「自転車に乗れる人でないと参加できないぞ~」と、何度も言って、ニヤニヤしていました。

両親の年齢が高いといって、からかっていた先生です。 

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「教師にだけは決してなるまい」と、私は決意しました。

子どもに与える影響の、良い面にしても悪い面にしても、どちらもあまりに大きい。教師という職業に怖さを感じました。

 

今でも、教師に対する憧れと不信感が相まって、ついつい厳しい目で見てしまいます。

子どもたちの担任と揉めない様に、実は密かに自制しています。