小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

コンプレックス姉妹

姉は美しい。

切れ長の目、高い鼻、形の綺麗な口、白くきめ細やかな肌。

手の指も細く長く、爪の形さえも整っている。 

 今でも私より少し背が高く、足も長く、私より少し体重が少ない。

 

 

 

姉は賢く器用だ。運動神経も良い。

勉強は何でもすぐできるようになるし、夏休みの宿題は計画通り7月中に済ませてしまっていた。

お人形の洋服をオリジナルで作ってしまえたし、料理も上手いし手際が良い。

足が速く、ドッジボールも投げても取っても強かった。

 

そして姉は優しい。

いつも母を気遣い、すすんでお手伝いをし、変わっている妹の世話をした。

共感力があり、悲しみに触れると純粋な涙を流す。

 

 

姉は可能な限りの「善」のパーツを使って作られたような人だ。

母の身体に残ったパーツで、何とか作られたのが妹の私だと、時々揶揄されたし、自分でさえそう納得してしまうほど、姉は素晴らしい。

 

 

そんな人が、家でも、学校でも、目の上のたん瘤のように存在し、私は「ほんとに、妹なの?」と、ビックリされていた。

 

コンプレックスで、自分がほとほと嫌になっていたけれど、嫌になるのは自分自身のできの悪さであって、今でも美しい姉に憧れるし、自慢に思っている。

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私が故郷を離れ、苗字が変わり、姉とはほとんど接点のない日々が続いたけれど、主に姉妹2人で両親の面倒をみることになり、頻繁に顔を合わす時期があった。

久しぶりに会う姉は、やっぱり美しかった。

素で美しい上に、自分を美しく見せるセンスもあり、でも、それ以上に「美しくある」よう努力していた。

 

実家で落ち合うと、自然と想い出話が始まる。

私を気遣ってか、姉は何とか私を褒めようとする。

 

目も鼻も丸くてかわいい(鼻が丸いのは嬉しくない)

肌が強そう(まあ確かにワイルドだわね)

手や爪が小さくてかわいいとか、筋肉質で羨ましいとか(・・絶対褒めてないだろ)

 

 夏休みの宿題、ぎりぎりに始めても終わらせるのすごかった(それ褒めてる?)

絵や作文が上手くて羨ましかった(確かに、姉の作文のゴーストライターにもなった)

お手伝いしたくないって言えてすごかった(あれ?言ったっけ?)

自由で、意志が強くて、冷静でしっかりしていて・・・

 

妹の方がしっかり者な気がして、姉としてコンプレックスだった。

 

あなたは、可愛くて、発想が豊かで、仲のいい親友がいて羨ましい。

 

 こんなに完璧な姉なのに、こんな私にコンプレックスを抱いていたのか?と衝撃だった。

私たち姉妹は、お互いにコンプレックスを抱えて勝手に傷ついていたようだ。

結局、ないものねだりなんだな。

自分に無いものを悲しんで、いじけて生きては勿体ないかもな。という気分になった。

 

 

両親の葬儀も終わり、長い相続問題も一段落し、また、ほとんど連絡を取らない日々に戻ってしまっている。

独りの姉は、これからも美しくカッコよく生きていくのだろうし、私もそれなりに面白く生きていくと思う。

そして、胸に抱いているのはコンプレックスではなく、相手を尊敬する気持ちだといいなと思う。