小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

抜毛症と美容師Aさんとブログ

美容師Aさん(男性)の運営する、その美容室に月1回ペースで通うようになって、もう15年近くなります。 

Aさんの美容室に出会うまでは、店内の照明や音やニオイ、そして何より美容師さんとのお喋りが苦痛でした。

その最大の原因は、私が抜毛症を抱えているからです。 

抜毛症との長い付き合い

抜毛症(ばつもうしょう、Trichotillomania、トリコチロマニア)とは、正常な毛を引き抜いてしまう性癖によって脱毛斑が出現する精神障害。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

  発症したのは、小学校高学年の頃でした。

髪やうぶ毛が多いことがコンプレックスだったことと、抱えきれないストレスが、こんがらがってしまったのかなと自分では思っています。 

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 髪の抜ける一瞬の痛みを求めて、1本抜き、もう1本・・・

髪を抜くという「行為」に集中するうちに、意識が全くの「無」の世界に飛んでいきます。

空白の世界は「無」であるために「苦」もない、居心地の良い安らげる場所。

はっ!と我に返ると、1時間経っていて、抜いた髪の束は直径5ミリを越えている。

「しまった!これではいけない。やめなきゃいけない。」

焦れば焦るほど、また居心地の良い世界に逃げてしまう・・この繰り返し。

 

見えにくい場所を選んで抜く分別はあり、パッと見はわからなくても、あちこちに禿ができました。

それが更にストレスとなり、それなら止めればいいのに、何故かもっと髪を抜き、もっと髪が少なくなります。

それからごく最近まで、軽減したり酷くなったりを繰り返しながらの長い付き合いとなりました。 

止めたいのに止められない

全くの、自分だけの行動であり、自分の意思だけで止められるハズなのに、どうしても止められない。

髪を結び、あるいは始終手袋をはめ、「抜く自分を許そう」と思ってみるとか、抜いてしまった本数を数えるとか、思いつく限りのことを試してみましたが、効果は一時的。

 

今思うと、「無」になれる居心地の良い場所を奪われることを、自分自身が拒絶していたのでしょう。

他に逃げる場所がないのに、手放してしまったら、正常ではいられなかったのかもしれません。

 

症状が酷い頃(若い頃)、自分のことなのに自分でコントロールできないことが理解できず、意思の弱い自分が許せず、不甲斐ないダメ人間だと落ち込みました。

ふとしたきっかけで、知人に話すことになってしまった時、「何それ!!」と大笑いされてしまい、以後誰にも言えずにいました。

インターネットで情報を得られるようになり、初めて「抜毛症」という名前がついていること、同じように苦しんでいる人がいることを知り、少し気持ちが晴れた気がしました。 

 

美容師Aさんの優しさ

美容室には極力行かないようにしていましたが、やむを得ない時もあります。

美容師さんなら、私の髪の異常さにすぐ気づきます。

「これどうしたんですか!?禿げてますよ!!」

「自分で気付いてますか?ほら、ここ!見えます!?」

だいたいの美容師さんは、こんな反応でした。

悪気は感じないし、本当にびっくりしていたり、心配してくださったり。

でも、眉を寄せて、大きな声で言われると、しんどくてたまりません。

自分のせいで、申し訳ないけれど、わかってるんです。止められなくて苦しいんです。

 

美容室を転々とし、落ち着いた雰囲気に惹かれて入った店でAさんに出会いました。

Aさんは私の禿については触れず、明るく世間話をして、スッキリとカットしてくれました。

あれからずっと、禿げたり生えてきたりを繰り返す私の髪を、Aさんは黙って何とかしてくれました。

プロだから、客商売だからと言えばそうなのだけど、以前身の縮むような思いで鏡の前に座っていた私にとって、Aさんの優しさがありがたくて、感謝の思いでいっぱいになるのです。

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 ブログを始めて4カ月経ちます。

誰にも言えなかったことを色々と吐き出す場にして、読んでくださる皆さんを、暗い話にも巻き込んでしまいました。

ブログを始めて、37年以上続いた抜毛症が治まっていて、自分でも驚いています。

 言葉で吐き出すこと、読んでくださる人がいることが、前を向く力に繋がっているように思います。いつも、ありがとうございます。

 

新たに生えてきた髪は、悲しいことにほとんど白髪です。

Aさんは、「少しカラーを調整しましょうね~」と、優しく笑ってくれました。