中学生の頃はまだ、土曜日は半日授業が当たり前。
家にいるのが嫌いだった私は、この半ドンが嬉しくて、部活がない日も、なぜか配られる牛乳で空腹をごまかしながら、可能な限り学校に残っていた。
その日もぐずぐずしていたら、廊下で何やら揉め事発生。
ちょっとやんちゃな「男子vs女子」の数人の口論だったけれど、何故か通りすがりの私が巻き込まれてしまった。
女子たちはそそくさと私の後ろに回り、私は女子の先頭に立ち、あたかも女子代表のよう。
当時、私はどちらかと言うと「苦手な人」は女子の中にいて、「気が合う仲間」は男子の方が多かった。
言いにくいこと、でも言わなきゃならないことを、女子は大抵私に言わせて、後ろの方から「Me Too」って言うばかり。
口論の原因は何なのよ?と思っているところに運悪く先生登場。
「さあ!教室に入って話し合おう!」と張り切られても、私は通りすがりなんですが・・
口論の原因はこんなこと。
男子の一人と仲良し(彼女?)の「後輩女子」がいた。
なぜか「後輩女子」が気に入らず、女子が何かと陰口をたたいた。
「トイレで手を洗わなかった」とか何とかで、「汚い」と言った。
怒った男子が、「お前だって汚い!その腕気持ち悪いし、汚いじゃないか」と発言。
言われた女子が泣く。「ひどい!」と周りの女子が怒る。
売り言葉に買い言葉の口論勃発 ← イマココ
はぁ。猛烈にくだらないぞ・・と思いつつも、引っかかる。
泣いている女子の腕には、幼い頃に負ったやけどの跡が大きく残っていた。
腕のほとんどが酷いケロイドになっていたけれど、制服が半袖だったので隠せなかった。
普段は賑やか過ぎで、ちょっと仲良くなれそうもない彼女だったけれど、明るく振る舞っていたけれど、やっぱり気にしていたんだよね。
巻き込まれただけなのに、つい口が開く。
まぁ、さ、男子の意見も、言い分もわかるよ。
「後輩女子」に注意してあげたかったとしても、女子の注意の仕方が悪かったよね。
イジメる気持ちがないんなら、「汚い」じゃなくて、「手を洗ったほうがいいよ」って言えばいい。
でも、さ、男子はだからと言って、やけどの跡のことを言ってはだめ。
私はいつも、目が寄ってて気持ち悪いって言われるけど、生まれつきで、自分ではどうしようもなくて、
自分で頑張れば変えられるものなら、言われても「なにくそ」って思えるけど、
持って生まれたハンデとか、家が貧しいとか、親がどうとか、
頑張ってもどうしようもないことを言われると、ただただ辛くなる。
だから、私は、本人ではどうしようもない事を挙げて、バカにしたり、さげすんだりなんてこと、しないでほしい。
〇〇さんの腕のことを、汚いなんて言わないでほしい。
その日は、特に帰りが遅くなったけれど、理由を説明するのも面倒で、親にこっぴどく叱られた。
全面的に味方にならなかったので、どうも反感を買ったようで、女子は何も言わずに帰っていった。
その後も、こそこそと陰口をたたかれたけれど、それはいつも通りのこと。
後日、今度はその時のやんちゃ男子グループから屋上に呼び出される始末。
「はぁ~もう、やってらんねー」と思いながら一人屋上に行くと、「実は・・」と、やんちゃの一人から告白されて、心底驚いた。
その頃、イケメンの同級生に絶賛片思い中だったので、丁重にお断りしたけれど、卒業後も2、3年は、年賀状を送ってくれた。
やんちゃな姿からは想像もつかない、可愛らしい手書きのイラストが描かれていて、恋愛感情とは違う気持ちで嬉しかった。
あら?今日はただの甘酸っぱい思い出話になってしまった。
ほんさき