小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

「キーパーソン」について考える夏にしよう~離れて暮らす実親の介護1

みそっかす扱いだった末娘の私が、約10年前、離れて暮らす要介護の両親のキーパーソンになった。

自分の保護者であった親も、高齢になると立場は逆転する。

母の入院時、身元保証人の欄に、自分ではなく娘である私の署名を求められた時の父は、少しだけ小さく見えた。

 

医療を受けるにも、介護保険サービスを受けるにしても、保険外の宅配弁当などのあらゆるサービスを利用する時も、「誰がキーパーソンなのか」を問われる。

必要とされないのは、高齢者を狙うかのような通信販売、訪問販売くらいだ。(これらはむしろ、家族の介入を嫌う。)

親と同居している場合や他に兄弟がいないという場合はおのずと決まってくるが、兄弟がいて皆別居している時は、誰がキーパーソンになるかを決める必要が出てくる。

「どなたがキーパーソンですか?」と、病院の医療相談室でソーシャルワーカーに尋ねられ、連絡窓口のつもりで気軽に引き受けたけれど、結論として言えることは

「キーパーソンはつらいよ」ということ。

親の介護のキーパーソンとは 

親の介護にあたり、キーパーソンは、まず、確かに「関係機関と家族間の連絡窓口」である。

そして、窓口ということは、「色んな事を伝えてくださる専門家のみなさん」と、「色んな思いを持つ家族」との間で板挟みにもなる。

ケアマネージャーや各サービスの担当者、医療関係者から、

「ご両親が、最近こんな状態ですよ~。こんなことがありましたよ。お盆休み期間のヘルパーさんどうしますか?」等々、様々な情報、相談、判断依頼をいただく。

他の兄弟、父(あるいは母)へ伝えて、どうしたいか、誰が何ができるか、どんな予定か(帰省するつもりがあるとかないとか)を確認し、介護サービスを依頼する。

ヘルパー事業所から「いつものヘルパーさんは行けないので・・」と言われることもあるし、「それなら嫌だ」なんて親がワガママ言うこともある。

「やっぱり帰れなくなった。」「デイサービスには行きたくない。」なんてこともよくあることで、その度に連絡、調整、場合によっては説得に奔走する(電話やメールで)。

 

緊急時にはもちろん連絡がくる(連絡窓口ですから)し、なにしろ緊急なので即決で判断を求められる。 

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家族を代表して、「最近デイサービスの〇〇が辛いらしく・・」とクレームを伝えることもあるし、逆に「近頃、強い口調で着替えを拒否されて・・」と、注意を受けることもある。介護の方針について意見をまとめ、伝える必要もある。

 

介護保険の認定申請、介護サービス事業者との契約、入院、手術等の時は、立ち合いや連帯保証人、身元引受人にもなることも求められる。

※これらはもちろん別の兄弟等で構わないけれど、認定調査の時などは、わかっている人間がいた方が良い。

 

「連絡窓口よね~」と軽い気持ちで引き受け、結局は、主介護者(メインで介護する家族)になり、親の介護に関する最終責任者になっていく。

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キーパーソンはこんな人になってほしい 

 介護の現場での経験と、実親のキーパーソンになった経験から、私の思う「キーパーソンとなってほしい人」は、こんな人。(重要順)

1.連絡がつきやすい人

 まず、第一条件としてこちら。とにかく連絡がつかないことには、どうにもなりません。

2.要介護者(親)の状況をわかっている人

 連絡がついても、状況を説明して、話が通じないと困ります。ご家族の心身の状況、置かれている状況を、ある程度わかっている必要があります。

3.判断や決定ができる人

 緊急時でもそれ以外の些細なことでも、ご家族のことは他人には決められません。内容によっては、他の家族の説得が必要になることもあります。

4.責任感のある人

 「はいはーい」と返事だけで、一向にお願いしたことをしてくれない人、「行く」と言ってこない人、「決まったら連絡します」と言って、連絡しない人は、相手が困ります。結果、親が困ります。

5.要介護者(親)や他の家族と関係が良好な人

 キーパーソンと関係が良くなく、介護サービス提供側に、他の家族からバラバラな意見を寄せられることがありますが、どなたの意見を重視してよいかわからず困ります。

キーパーソンと要介護者(親)の話し合いが不十分で、要介護者が納得されていない場合も、なかなか辛いものがあります。

 

 「キーパーソン」について考える夏にしよう

一昔前ならば、長子が同居していたり、別居でも長子が責任者だったりしていたのだろうけれど、実際問題として、生まれた順番よりも先述の条件が重要。

我が家の場合、兄弟の中で2番目に遠方で、唯一苗字の違う末娘の私が「とにかく連絡がつきやすい」という理由でキーパーソンとなった。

キーパーソンとして色々と立ち回るうちに、最終責任者に成長させてもらったようなものかなとも思うようになった。

そして、キーパーソンが機能している方が、離れて暮らす親の介護はスムーズであることは間違いない。

 

けれど、くどいけれど、とにかく「キーパーソンはつらいよ」な場面が多いのだ。

なるならば、何となく、なし崩し的にキーパーソンになるよりも、覚悟を決めて、他の家族の理解も得た方がいいし、

自分以外の誰かがキーパーソンになるならば、協力できること、分担できることについて、知恵を出し合った方がいい。

 

 夏休みやお盆休みを利用して実家に顔を出したり、親族の集まりがあったり、何かと故郷が身近に感じられる季節。

「親もそろそろ歳取ってきたな~」と感じているならば、顔を合わせた時に「キーパーソン」についても、ざっくりでも話しておくことをお勧めしたい。

言いにくいことこの上ない話題ではあるけれど、だからこそ、電話やメールではなかなか話し合えるものではないのだ。

いつか話すなら、この夏に是非。 

 

ほんさき

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