中学校の部活顧問S先生の「暴力的指導」について、学校へ連絡し、S先生から直接謝罪の電話があったので、言いたいことを言わせてもらった。
S先生は、私へ電話をかける前に、まず、直接二男に謝罪されていた。
反省もしてくださったけれど、中学野球部生活は、あと2年近く続く。「さて、この後どうしよう?」と思った。
私は、一度暴力という手段に出た人間を、簡単には信用できない。
一度その一線を越えてしまったら、次はもっとハードルが下がってしまうと思っているからだ。
背景を推測する
当時、その中学校の野球部は、特に顧問のなり手が不足している部活のひとつのようだった。
他の運動部同様、毎日遅くまで練習し、土日は練習試合などで1日中拘束される。
そのうえ、決して荒れていた学校ではないけれど、やんちゃな子は野球部が多かった。
S先生は、春の異動と同時に、野球部顧問に任命されたのだけど、野球経験はゼロ。ルールも全くご存じない。
「若さ」と「体力」と、「独身」という理由で野球部顧問に任命されたんではないか?と思ってしまった。(もう一人の顧問は、滅多に顔を出さない。)
更には、S先生は担任も持ち、PTAの仕事も、地域コミュニティ担当にもなっていた。
ストレスフルだからといって、「暴力的」であることを容認するつもりは決してないけれど、
ほとんどが小学生の頃から野球をしてきている生意気盛りの部員相手に、ルールすらわからないのに「監督」として指揮をとるのは辛いだろうと思われた。
保護者として対応したこと
保護者会の会長や、交流のある保護者と話した結果、土日はできるだけ保護者の誰かがグランドに出向き、お茶準備や救急対応と称して見守ることにした。
そして、先生の負担をできるだけ減らそうと、野球経験のあるお父さんたちが、可能な範囲で練習を手伝った。
私も、練習試合や公式戦がある時は、ほぼ毎回出向き、観戦しつつ試合前後の様子も見守っていた。
そのうちに、先生の態度に気をつけているつもりが、子どもたちの態度が気になりだした。
先生の指示を聞かなかったり、聞いてもダラダラ片付けしていたり、ルールに詳しくないことを笑っていたり。
小学生の頃から知っているその子たち。小学生の頃の厳しい監督の時とは、態度がえらく違うのがわかる。
二男も、先生が言われていた通り、話し中にまたニヤニヤしている。見ていて、私の方がイライラした。
もちろんその場でしゃしゃり出て注意はしないけれど、家に帰って態度を注意する日々だった。
実は、保護者にも責任があるのだ。
ベテランの顧問の代わりに、S先生が顧問と知らされた時、みんな「ハズレだ」と言っていたのだ。
「どうやって指導するのか?」「弱いチームになってしまう。指導者がいないんじゃ、もう勝てない。」私自身も思ったのだ。
保護者同士で話をする時も、子どもにも、努めて「よくやってくださっている」と伝えるように気をつけた。
「顧問を引き受けてくださる先生がいるから、野球ができるのだ」と。
だからと言ってヨイショするわけでも、見守りを辞めるわけでもなかったけれど。
皆がみな、忙しい中、何が何でも部活を見に来るべきだと言っているのでは決してない。
親の方が熱くなって、あれこれ口やら手を出すのは、なんだかなぁ・・と思っている。
けれど、ちょっとでも子どもを取り巻く雰囲気を感じることは大切だと思った。
見に来たことがない親ほど、指導や、選手起用についてまで不満を言ってみたりしがちだけど、
自分の子どもが、実は結構チームメイトにひどいこと言ってたり、先生の注意を聞かなかったりしている場合があるのも、また事実だったりするのだ。
その後のS先生
その後のS先生の努力には、頭が下がる思いだった。
野球に詳しい先輩先生と野球観戦に行ったり、野球について教えてもらったりされていた。
近隣校の顧問の先生に「うちの子たちにもご指導をお願いします」と言って、合同練習をお願いしてくださった。そして部員と一緒に勉強されていた。
あちこちお願いして、遠征先や試合相手を探してくださった。
やんちゃな部員に注意する時も、何十分も横に座ってじっくり話しをされる姿をよく目にした。
プレーの上手さや打率だけで判断せず、真面目な練習態度の子に背番号をくださった。
ただ、その日の勝ち負けのためじゃなく、努力している子に焦点をあててくださった。
ノックの練習も随分されていたのだろう。最初は「バットにボールを当てるのがやっと」という感じだったのに、二男が引退する頃は、ちゃんと目指すところにボールが飛んでいた。
二男も、「S先生、ノックが上手になってるんだよ。すごいよ。」と言っていた。「きっと、頑張って練習してるんだね。」と。
S先生は、最後まで、私の前ではカッチカチになっていらした。
ただのご連絡のため「ちょっとお話が・・」と呼び止めると、「ドキッ!」とした顔をされるので、ちょっとお気の毒な気もしたくらい。
私、そんなに怖かったのかしら?嫌われちゃってたかもな?と思ったりする。
でも、いずれにしても、私はS先生個人に対する怒りはもう持っていない。
私はエゴイストなので、顧問の「暴力的指導」について学校に苦情を入れた目的は、つきつめるところ「二男の好きな野球を続けさせたかったから」だ。
「先生」にも色々な人がいて、今回記事にしたことと同じ対応を保護者が行っても、少しも改善に向かわないケースも、多々あると思う。
だからこそ、S先生が、私のような、いち母親の言葉を受け止めてくださったこと、
野球のプレーは上手くなくても、自ら努力する姿を子どもたちに見せ、部を導いてくださったことに、私は感謝の気持ちを抱いている。
ほんさき
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