小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

「関係があまり良くない実親の介護」のコツは自分を大切にすること~離れて暮らす実親の介護4

地味にシリーズ化していた「離れて暮らす実親の介護」だけれど、「私が書く意味って何だろう」と迷っていた。

私が介護していたのはちょこっと前の話で、今や介護についての情報やブログ記事は有意義なものが沢山ある。

私が書けることは「関係があまり良くない実親の介護」を「何とかやってみた話」かもしれない。

辛くなったらサッサと帰る 

私が両親の介護のキーパーソンとなり、しばしば帰省するようになってから、母とはよくケンカしていた。

ケンカと言うより、母の言葉があまりに無神経に思えて、私が一方的にブチ切れかけていた。 

例えばある時。通院付き添いやらなんやらで呼び出されて帰省する。

職場に頭を下げ、私がいない間の食事を用意し、夫に子どもの送り迎えを頼み、義母にはちょこっと嫌みを言われながら、1泊で故郷に帰る。

「台所の電球がつかないのよ」と言うから、買い物ついでに探して付け替えたけれど、

「あらヤだ。こんな色じゃないわよ!」と母は平気で言う。

「田舎のホームセンターにはなかなかない商品なのよ。暖色系だとわかってたけど、白しかなかったの。つかないよりいいじゃん。」

「あーぁ、ヤだわ。変な色だわ。」

母は何度も何度もぼやく。

「あぁそうだね。お兄ちゃんに頼みなよ。どうせあの人は来ないけどね。」

意地悪を言ってしまうと、母は言うのだ。

「お兄ちゃんは、仕事があるのよ。」

 

おいおいおいおい。

私だって、仕事があるんだよ。家事も育児もあるんだよ!

ねぇ、私がここに来るのが、どんなに大変だかわからない?

ねぇ、いつもどんな思いで、どんなに頑張ってここに来てると思ってんの?

ねぇ、どうしていつもいつも、私の気持ちを踏みにじるのよ!

 

怒鳴りつけてしまいたい衝動にかられるけれど、目の前にいるのは怖かった母ではなく、小さくて白くて弱々しい女性。守るべき人。

怒鳴りつけたら何だか弱い者いじめみたいで、ぐっと気持ちを抑える。 

そんな日々だった。

 

言葉を飲み込み過ぎて「もう耐えられない」と思った時は、最低限のことを済ませてサッサと帰った。

指定席をとっていた特急電車にはまだ随分余裕があるのに「電車の時間があるから」と逃げるように実家を後にした。

ちょこっと後ろめたくて、「ギリギリまでいてあげるべきだ」という、自分の中の偉そうな部分が自分を責めるのだけど、もう限界。

親不孝者でもいい。ここで無理して自分が壊れたら逆に親不孝なんだから。

子どもが幸せでいることが、究極の「親孝行」なんだから。

母について書くとカテゴリーが矛盾する~復讐のつもりが親孝行 - 小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

娘から母へ変身する隙間時間を大切に過ごす

故郷から帰る特急電車は、その頃の私にとって、娘から母へ変身する場所だった。  

海の見える側の席に座り「お疲れ様」と自分をねぎらう。

ちょっと高いけど、その時だけは社内販売のホットコーヒーを買う。  

故郷では、病院の付き添いも、ケアマネさんとの打合せも、お世話になっているご近所へのご挨拶も、しっかり者の娘の顔でこなし、

ぐずぐず言う母や、デイケアをサボりがちな父に、「ちゃんとしなきゃ」とお説教もする。

 

 そして、車窓から海が見えなくなってしばらくしたら、母親の顔に戻らなくては。

ニコニコ笑って「1日会えなくてさびしかったよ~」と抱きしめて、子どもたちの好きなおかずを作らなきゃ。 

 

だから少しの間、娘から母へ変身する隙間の時間、ちょこっとぼんやりする。

あんな言い方ってないよな。 

なんだってんだよな。

庭の草取りもしなきゃだったのにな。

電球の色くらいスルーしてもよかったかな。

だけどひどいよな。やってらんないよな。

でもさ、あと何回会えるかな。

海を見ながら、ポロポロ涙をこぼすことを、自分に許す。

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自分が一番笑顔でいられる選択肢を選ぶ

親との関係がどんなに良好でも、介護はしんどい部分がある。

ましてや、複雑な思いを抱えながら、守るべき者となった親と向き合うのは、なかなかにしんどい。

過去を思い出して向き合うのが辛い時も、

冷たいことを言ってしまって後悔する日も、

「あぁやっぱりな」って親に何度も失望する時もある。

だから、時には自分で自分を甘やかして、自分を許す時間を作って、何とか乗り切る。

そして「どうしようかな」と選択に迷う時、「自分が一番笑顔でいられる選択肢」を選んでいくのが、結局一番いいんだと信じて選ぶ。

順番では自分が残されるのだから。残された後も自分の人生が続くのだから。

 

ほんさき

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