「カビですね。」
皮膚科をはしごして3軒目。
何かと噂のそのクリニックの女医さんは、顕微鏡を覗いたとたんに、あっさりと答えを導き出してくださったのでした。
15年ほど前、私がまだ30代半ばの頃の話です。
顔に「カビ」が生えた!?
ある年の春。「頬の一部分が、何故か赤みがあるな~?」が始まりだったのです。
やがて、吹き出物というより、小さな水泡のようなブツブツができ始め、痒いし、ガサガサしてきました。
その頃、口角がちょくちょく切れて炎症を起こしていた(口角炎)のですが、それが頬にもある感じ。
清潔を心がけても治まる気配がなかったので、しぶしぶ近所の皮膚科へ。
「う~ん。肌荒れですかね~。保湿してください。」と言ってワセリンを処方されました。
しかーし、治るどころか広がる一方。
「ホントに『保湿』であってんの??」と不安になり、市で一番大きい総合病院の皮膚科を受診したのですが、やっぱり同じ診断。
そうこうしているうちに、ジュクジュクし始めるし、広がるし、さすがに頬ですから仕事行くにも、気になって仕方ありません。
同僚に相談すると、「色々強烈で噂の女医さんがいる」県中心部の人気の皮膚科を教えてもらえたのでした。
なるほど、「カビ」と即答。処方された薬で、みるみる治りました。
「前の2軒は何だったの?さすが噂のお医者さん!」と感動。
皮膚常在菌と日和見感染
それにしても、「カビ」とはショッキングな診断で、思わず
「ちゃんと顔も洗っているし、不潔にしているつもりはないんですが・・・」と訴えると、先生曰く
「不潔だから顔にカビが生えた」というばかりな訳ではないの。
この菌は「その辺にいる菌」。その辺にいるけど、普通の人は感染しないですんでる。
免疫力が下がると、なんでもない菌にも感染してしまうの。
あなた、疲れがたまっているんじゃない?
噂にたがわぬ強烈な雰囲気の割に、お優しい言葉♡
先生は「その辺にいる菌」と言われたのですが、私が感染したのは、人間の皮膚に存在している「皮膚常在菌」の一つカンジダ菌。
カンジダ症は、ビタミン欠乏症による免疫力の低下が主因で引き起こされる、悪玉菌増加による日和見感染である。
カンジダ菌そのものは、元来はヒトの体表や消化管、それに女性の膣粘膜に普通に生息するもので、多くの場合は特に何の影響も与えない。
また味噌やワインの発酵などにも関与している。引用:ウィキペディア(Wikipedia)
「皮膚常在菌」は、200種類以上いると言われています。
体中の皮膚にも顔にも無数の菌がいるなんて、潔癖症の人だったら卒倒しそうですが、
皮膚常在菌は、皮膚表面を弱酸性に保ち、外界からの病原体の侵入を防ぐバリア機能を担っています。
ところが、外からの刺激、疲れ、ストレスなどにより、皮膚常在菌のバランスが崩れると、アレルギー反応や炎症反応などが起こり、肌トラブルへとつながります。
普段は、ただの「その辺にいる菌」ですが(むしろウィンウィンの関係)、「日和見」して、こちらの免疫力が下がるとトラブルの原因になってしまいます。
これが「日和見感染」と言われるもの。私の顔に「カビ」が生えたのも、これ。
動物の免疫機能が低下すると、通常であればその免疫機能によって増殖が抑えられている病原性の低い常在細菌が増殖し、その結果として病気を引き起こすことがある。
すなわち日和見感染とは、宿主と病原体との間で保たれていたバランスが宿主側の抵抗力低下により崩れ、宿主の発病につながるものである。
引用:ウィキペディア(Wikipedia)
免疫力を落とさない+洗い過ぎない
「『日和見』して結局病原になるのなら、菌を無くしてしまえ!」
と思っても、「常在菌」なので減らすことはできてもなくすことはできません。
しかも、常在菌は、普段は皮膚のバリア機能を担ってくれています。
あまりにも極端に洗い落とし過ぎたり、殺菌に力を入れ過ぎると、
有害な菌だけでなく常在菌までダメージを与えてしまい、肌のバリア機能までダメージを与えてしまいます。
結果、かえって有害な菌に感染してしまうことにもなりかねません。
「あなた、疲れがたまっているんじゃない?」と先生に言われたとおり、当時の私は、
仕事の責任と忙しさが増し、家事育児に追われ、加えて実親の体調が悪く
寝不足も続き、体力的にも精神的にもストレスを溜め込んでいたのでした。
常在菌をなくすことはできない以上、菌とのバランスを崩さないよう、免疫力を下げないよう、心がけて生活するしかありません。
最近では、常にマスクをつける生活のため、肌の環境が今までとは異なり、トラブルも増える恐れがあります。
常在菌に日和見されないよう、気をつけなければ。
そう言えば、「何かと噂の」「色々強烈で噂の」女医さんの、何が噂だったかと言うと、
診察室に入ると、まるで「ブルゾンちえみ with B 」Σ(・ω・ノ)ノ!
超ミニスカート。派手派手メイク。助手たちがイケメン!確かにかなり強烈でした(^^;)
もちろん、腕が確かなことでも噂の先生。
おかげさまで、今では全く跡も残らず、綺麗に治していただいたのでした。
ほんさき
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