彼女との別れは、もう少し先のことだと思っていた。
あの日「『久しぶり~』とLINEでもしようか」と思いついたのに、
「あのことも一緒に書こう」と考え直し、2日後に送ろうなんて思ってしまった。
「久しぶり~」だけでも送ればよかった。
私がLINEしたとしても、その運命が変わったわけではないのだけれど、
なんとなく、そんなことをグルグルと考えている。
最近では、ごくたまに連絡するだけだったから、
黒い服を脱ぐと、怖いくらい今まで通りの日常が訪れる。
いつものように仕事をして、家事をして、
いつも通りモリモリ食べるし、ぐっすり眠るし、ニコニコ笑っている。
彼女がもう存在していなくて、どうしたって会えないことを、
私は、わかっているのに、どうにも飲み込めていないようだなと思う。
他人事みたいに。
親を看取った時は、まだ若さがあったのか、覚悟ができていたからか、
もう少し違っていた気がする。
私は、想定外の不意打ちにつくづく弱い。
ちょうど一年前、彼女と会う約束だった。
また、ちょこっと飲んで、たわいもない話をして大笑いするハズだった。
コロナ騒ぎで会うのを延期したままになり、
もう会えなくなってしまった。
ささやかな日常は、当たり前の毎日は、実は当たり前じゃないんだとあれほど耳にしていたのに、
わかっていなかったことに気付く。
ふるさとに帰る予定がある。
「久しぶり」と、R子にLINEを送った。
私は、思いついた時に「久しぶり~」だけでも躊躇せずLINEを送ることにする。
そして、会いたい人に会うことにする。
(もちろん無理せずに。)
ガラス越しでも画面越しでもいいから。
ほんさき
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