小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

悲しみ下手

※タイトルから推測されるとおり、暗い内容なのでご注意くださいね。

そんなことに上手も下手もないのだろうけれど、
私は「悲しむことが下手なんじゃないか?」と、ふと思いついた。

それが、なんだかしっくりくる気がする。

他人と比べることでもないのだろうけれど、
私は、その時生まれた「悲しみ」が、あまり変わらず静かに心に沈んだままだ。

悲しみに打ちひしがれ、取り乱し、やがて徐々に上向いていく人達と違って。

他の人が、「私からはそう見えるだけ」なのかもしれないし、
別に「他の人より私は辛いの」なんて言いたいわけじゃなく。


私は、近頃、悲しみ下手のせいで沈んだままの「悲しみ」を、連なる思いを、
懺悔のように、無性に打ち明けたくなる。
これは、歳をとったということなのかもしれない。

けれど、打ち明ける相手も、場所も思いつかない。

以前は、鏡に向かって吐き出していた。
深夜、鏡の前で延々と吐き出し、一人でボロボロ涙を流せばよかった。

なぜだか、鏡の相手に他者をイメージできなくなって、
ひたすらに語る自分自身を眺めて、切なくなってしまった。

星や空を見上げて、胸のうちで語っていたこともあった。
子どもの頃はできても、おばちゃんになると、その様の不自然さが気になった。

仮に、もし、誰かに話すとしても、聞く相手の負担を思うと躊躇する。

きっと答えに困るだろうし、
「そんなことないよ」とか「そんな風に考えることないよ」とか
言わせてしまうのだろうなと思う。

なぐさめてほしいわけじゃないし、「優しいんだね」なんて言われたいわけじゃない。

どうしてほしいのでもなく、言いたいだけ。聞いてほしいだけ。
それならば、どうして、穴掘って叫ぶんじゃなくて、誰かに言いたいのだろう。

だから、今回は、何の結論も答えもない、ただ気持ちを吐き出すだけの記事。

無理だと思ったら、是非記事を閉じてもらいたいし、
コメントしなきゃと悩む事も、どうかなさらず、読み流してほしい。

 

それにしても、「悲しい」という感情は難しい。私にとって。

「嬉しい」「腹立たしい」「楽しい」
「怖い」「辛い」「切ない」「虚しい」「悔しい」「恥ずかしい」・・
意識しなくても、感情は嫌でも生まれてくる。

でも、「悲しい」は、ちょっと考えてしまう。
「あれ?これは、今、悲しいのかな?私…。」と。

大抵、辛い、怖い、悔しい、寂しいといった他の感情が前に出て、
悲しいのかどうか、よくわからなくなる。

 

約10年前、母が亡くなった時も、約7年前、父を看取った時も、
亡骸にすがり、大泣きしている兄姉とは温度が違いすぎて、
私には「悲しみ」が存在しないのかと、自分でも思ってしまった。

葬儀も、親族や地域の対応も、遺産分配も考えなければならなかった。
自分の家庭、仕事の段取り、公的手続き・・。

つい、「しっかり」してしまった。

その時に、上手に悲しめればよかったのだ。多分。

今でも、言ってしまいたい気持ちをしまっている。
こんなこと言われたって、誰だって困るよねってことを。

背負った判断への後ろめたさ、
結果論だとわかっている後悔、
逝く人の思いをくみ取りきれなかったコトへの懺悔、
全て言っても仕方がないことばかり。

上手に吐き出せたなら、少しは悲しみも薄れるのだろうか。

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彼女が急に旅立ってから半年が過ぎようとしている。

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突然この世を去ったのは、一つ違いの姉。
美しく、賢く、優しく、何でもできる完璧な人。

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何の前触れもなく、突然「くも膜下出血」で倒れ、
そのまま一度も目を覚まさなかった。

独り身の姉の家族として、駆けつけた病院で、
私は、やっぱり「しっかり」してしまった。

医師の病状説明を聞き、手の施しようのない状況を冷静に受け止め、
家族として求められる、あらゆる判断を淡々とこなした。

葬儀、姉の職場への対応、身辺の片付け、公的手続き、
そして財産の整理。
またしても対応したくもない長兄との関わり・・

溢れだすのは、悔しさや、後悔、やり場のない憤りばかり。
なぜ、あいつではなく、善良な姉が亡くなるのだ?
なぜ、自分ではなく…。


忙しさが一段落し、沈んでいた悲しみを眺めている。

もっと連絡しておけばよかった。
会いにいけばよかった。
後片付けをどうしてほしかっただろうか。

もし、「それでも手術してください」と泣きついたら、
奇跡が起こっただろうか?

やっぱり、言っても仕方のないことを思い、
吐き出す場所もなく抱えている。

私の日常は何も変わらない。
食事は美味しく食べられるし、ちゃんと眠り、
面白いコトを探して笑っている。

風の香り、日差しの色の移ろいを感じた時、
「もう秋だね」なんて風に、季節を姉と共有できないことに、
ふと気付く。

※暗い内容に最後までお付き合いありがとうございました。

ほんさき

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