小石の眼から見た景色 あらかた50主婦のあったこと録

その辺に転がっている小石のあれこれ体験録です。

実母にとって「家に戻る」は「職場復帰」~離れて暮らす実親の介護6

10年以上前に他界した実母は、2度救急搬送されたことがありました。

2回とも、「今夜がヤマでしょう。」と医師に言われ、
延命治療の判断を求められ、子ども達がベッド横に集合したりしました。

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しかし、幸いなことに、奇跡的に搬送前の状態に回復(医師も驚くほど)。
そして、胸をなでおろす間もなく、次の課題に直面したのです。

それは「急性期の病院を退院した後、どうするか?」でした。

退院したがる男、入院したがる女

現在の、いわゆる「高齢者」と呼ばれる世代の皆さんは、
男性は退院したがり、女性は入院したがる傾向があるように感じます。

もちろん、これはあくまでも私の感覚論ですよ。

今まで務めた医療関係の職場で見かけた皆さん、義両親、
そして自分の両親を見た感想です。

入院した途端、「早く退院したい。家に帰りたい」と騒いだり、ごねたり
(時には「脱走」してしまうなんて方も)するのは、たいてい男性。

かたや、何も病気がないのに「入院させてほしい」とか、
治っているにも関わらず「まだ入院させてほしい」と懇願するのは、たいてい女性。

 

実父がケガで入院した時は、「一刻も早く退院したい」と、リハビリも頑張っていました。

「退院したがる」気持ちは、実父のリハビリへのやる気アップに、非常に有効に働いていたようです。

一方、実母。
病院嫌い(似たもの母娘)で行き渋るくせに、ひとたび入院すると「退院したくない!」

「救急車で運ばれた病院(急性期病院)だから、回復したら出なきゃいけないんだよ」と説得しても、
「私は回復してないわ!」

実母にとって「家に戻る」は「職場復帰」

実母は、私の記憶の中では、常に「身体の弱い人」。

介護が必要になった頃には、医師から
「1年後も元気かもしれないし、明日、何か起こるかもしれない。」
と言われる状態でした。

実母の言う「回復してない」は、
「身体は相変わらずキツイのよ」という意味なのです。

しかし、急性期病院からみれば「搬送前の状態に戻っている=回復している」状態。
退院は避けられません。

 

家族会議の席では、男性陣(実父、兄たち)が言うのです。
「家に帰してあげるのがいいんじゃないか?」
「家に戻って、ゆっくり過ごす方がいいよ。」
「病院より、家にいる方がいいに決まってる!」

確かに、搬送前の状態に戻っているなら、自宅に戻れるということかもしれないけれど…。

つい、カチンときて、言ってしまったのです、私。
「男には、わからないかもしれないけどさ、
女にとって、『家』って『職場』なんだよ!」しかも休みなし!

「救急車で運ばれて、2週間で、
自分だったら、いきなりフルで職場復帰できる?」

「毎日毎日の3食は?洗濯は?掃除は?
お父さんできるん?兄がするの?(←ALL「無理」
そんなんで、お母さんが『家でゆっくり』なんてできると思う!?」

父兄母「お前(私)が来てくれたら…。」

「遠距離で、子どもも小さくて仕事もあるのよ!
ずっと来れるわけないでしょう!!(怒)

「職場に完全復帰する前に、もう少し猶予期間が必要なのよ!」

「家が一番」は状況による

結局、実母は大きな町の急性期病院から、自宅近くの(といっても車で30分)総合病院に転院させてもらったのでした。

もっとも、その病院を1か月ほどで「退院する」と言い出したのは、
入院したがりの実母本人。

急性期病院ほど至れり尽くせりではなかったうえに、
リハビリとか、食堂で食事とか、マイペースに過ごせなかったコトが理由のようでした。

自宅に戻る日に向けて、近所のクリニックの往診、訪問看護やヘルパーさんの手配、
配食サービスなどを調整していたこともあり、

職場復帰(自宅に戻る)の方が、ペースを乱されるより良いと思った様子。
超マイペースな人だったので(-_-;)

 

「住み慣れた家が一番」だろうとは思うのです。
本音のところは誰でも。

男性陣が「退院したがり」なのは、
家に「家事や介護をしてくれる人(=妻)がいる」からだし、
1人暮らしの場合は、「家事がおろそかでもあまり気にしない」からかもしれません。

女性陣に「入院したがり」が多いのは、
その「家」が「職場」であり、仕事の代わりを頼めないから。

夫や子どもに頼ると、もどかしくて申し訳なくて、いたたまれないから。

そして、たとえ1人暮らしでも、「家事(仕事)がおろそかであることが気になり」
頑張ってしまって辛くなるから。

さらに、病院にいれば、上げ膳据え膳なうえ、
「大丈夫ですか?」と心配して構ってもらえます。

 

誰にとっても「家が一番」だろうけれど、状況によるのです。
「家」をイメージ通りに保てれば「家が一番」。

家事全般、退院後ならケアも必要です。

自分たちで生活を保てる家(広さや便利さ)へ引っ越しているとか、
十分に外部サービスを利用している場合はまだいいかもしれません。

しかし、老老介護や、介護に不慣れな男性が介護者になる場合など、
もし、その「家」が上手く機能しないなら、

安易に「家がいい」とは考えない方がいいと思うのです。

振り返ってみると、できる限り介護サービスを利用したとはいえ、
片付けも行き届かず(モノがあふれる)、
私も頻繁に(母の望むように)は行くことができず、

父にも母にも、不安とか、寂しいとか、痛いとか、
アソコの垣根もキレイにしたいのに…とか
畑の草取りができてないわ…とか

望み通り自宅にいたと思っていても、
実は、本当のところは我慢させてしまっていたのかもしれないと
少々心残りだったりするのです。

 

これから時代が進み、「退院したがる人」か「入院したがる人」かは
性差では無く、人によるよね~」となったら、

本当の意味で「ジェンダーフリー」なのかな?なんて思っています。

我が家の場合は…。
私が「退院したい人」になれるよう、男性陣を特訓中(?)です(^^;)。

ほんさき

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