自分では「しっかりしているタイプ」のつもりで、
小中学校では「優等生タイプ」だった私。
とは言えそれは張りぼてで、実は「危なっかしいタイプ」。
思い返せば、今までで3回ほど「危うく…」という場面があったのです。
見つめ過ぎると危ないタイプ
1度目は小学6年生の頃、遠足で山道を歩いていた時のこと。
道の横は崖のようになっていて、眼下はうっそうとしています。
下の木々を見つめながら歩いていたら、急に腕を掴まれて道に戻されました。
どうやら崖下の方へ身体が傾いて、落ちそうになっていた様子。
下を見つめ過ぎて、平衡感覚がおかしくなっていたのかもしれません。
2度目は東京で働いていた頃。
職場の労働組合の動員で、休日に街をひたすら練り歩いていた日のこと。
大きな川にかかる橋の上から川面を眺めていたら、水面が近づいてくるような変な気分。
「このまま見つめ続けたら怖いかも?」と頭の隅で思いつつ目をそらせずにいたら、
「いい天気ですよね~」と誰かに声をかけられ、我に返ることができたのでした。
もしかすると、何かをじっと見つめ過ぎると近づいて行ってしまう、危ないタイプなのか?私?
そう思ったのは、3回目。
駅のホームで、貨物列車が通り過ぎるのを、ぼんやりと見つめていた時のこと。
自動販売機に応援される
故郷からの特急電車を降り、家路に向かう夕暮れ時の在来線乗り場。
列の先頭で電車の到着を待っていると、貨物列車が目の前を通過していきます。
貨物列車って、長いんですよね。
延々と通り過ぎる貨物を見ているうちに、目が離せなくなっていきました。
そうしているうちに、ふと頭に浮かんだのです。
今、飛び込んで、あのコンテナに当たったらどうなるんだろ?
痛いだろうな。でも、一瞬だからわからないかな?
頭の隅では、少し冷静な自分もいます。
「今、すごく怖いこと考えてるな、私。
飛び込んでしまう人は、こんな感じなのかもしれない。
このまま見つめ続けたら怖いかも。」
目が離せず、まるで大繩に入るタイミングを見計らうような気分になっていた時、
貨物列車のコンテナが途切れました。
列車を通り越して、向かいのホームが見えます。
薄暗くなったホームの自動販売機には、早くも明かりがともっています。
商品下のボタンにも青い小さな明かり。
チカチカとリズミカルに点滅する青い小さな光。
チカチカチカ チカチカチカ チカチカチカチカチカチカチカ・・・
チカチカチカ チカチカチカ ・・・
あれは… 三三七拍子?
もしかして、あの自動販売機、応援してる?
ただひたすらに三三七拍子のリズムを刻み続ける自動販売機。
ただそれだけのことですが、私は勝手に応援されて、温かい気持ちになって、
「怖いこと考えてたわ~。相当疲れてるな、私。危ないな~」
と、冷静さを取り戻したのでした。
視線を外すと見えるモノ
あの頃、離れて暮らす実親の介護と、発達凸凹の長男・まだ幼い二男の子育て、
加えて仕事との両立でクタクタになっていました。
心底、心身ともに疲れていたのです。
小学生の頃は、家庭の問題で、自覚できない疲れを抱えていたように思います。
あの時、腕を掴まえて助けてくれたのはT先生でした。
慣れない都会での社会人生活。
「明日のことは never knows」だと吹っ切れるまでは悶々としていました。
私が、危ないくらい何かを見つめ過ぎている時は、大抵「思いつめて」しまっている時だったと、今思います。
あまり自覚できていない心身の疲れのために、見つめ過ぎ、思いつめた状態から、どうにも上手く抜けられない。
けれど、ふと視線を外せた時に見えたモノに、幸い私は助けられてきました。
広い空を背景に、心配そうな表情のT先生。
キラキラと水面が光る広い川、誰かの日々がそこにある街並み。
人知れず応援を続ける自動販売機。
何かを思いつめて、何かを見つめ過ぎている時は、少し視線を外せるとイイと思うのです。
それは多分、きっと、私に限ったことではなく。
雨に濡れる、ただそれだけでも気付くことがあるから。
三三七拍子で応援してくれる自動販売機は、単に誰かがそうプログラミングしただけのことでしょう。
でも、ただそれだけのことですが、私はあの時大いに励まされました。
私も、誰かの元気にちょっとでも貢献できるといいなと、
そして、それはそう大それたことじゃなくても、
今の自分を一生懸命生きるだけでもいいのかなと、思っているところです。
飲み込んで吐き出すだけの
単純作業繰り返す自動販売機みたいに
この街にボーっと突っ立ってそこにあることで誰かが特別喜ぶでもない
でも僕が放つ明かりで
君の足下を照らしてみせるよ(引用:Mr.Children「Worlds end」)
Mr.Children Worlds end 歌詞 - 歌ネット
Mr.Children「Worlds end」
ほんさき
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