私は常々、「嫁」という言葉に地味に抵抗しているのです。
今の若い世代ならともかく、50代ではまだまだ「嫁」と呼ばれる機会はあります。
その度に、言葉狩りのようにいちいち目くじら立てたりはしません。
けれども「受け入れているわけではないよ」と、地味に抵抗し続けるのです。
代行者の「続柄欄」
歩行状態が徐々に悪くなっている義父。
もう90歳間近ですから、いたし方ないかもしれません。
先日は、そんな義父に代わって、とある申請手続きのため行政機関に出向きました。
そもそも、その申請に関しては、
必要書類の取り寄せから始まり、
読み込み(高齢者が理解するには少々難儀な文書量、文字サイズ、ややこしさ…)
内容の説明、添付書類の準備などなど、
そして最終的な窓口での手続きまで、結局ほぼ全てにフォローが必要でした。
相談できる人が身近にいない高齢者は、困るだろうなと改めて感じます。
さて、家族が代わりに来たことをお伝えし、窓口で必要な書類を記入します。
代わりに窓口へ来た人の住所、氏名、生年月日、本人との続柄( )・・
妻・子・孫などと書くのだろうと思われる( )のサイズ。
きっと「嫁」と書けば済む話。
ふっと反抗心がわいてきて
「二男の妻」と、小さな( )に無理やり文字を押し込めたのでした。
「二男さんのお嫁さん」ですね!
義母の「もの忘れ外来」の予約、
義父の検査日時の確認、
義両親の予防接種の予約手続き、
地域包括支援センターへの問い合わせ・・・
近頃は、何かと義両親関係で電話をかけることや
逆に電話を受けることも増えました。
できれば実子である夫や義兄にお願いしたいところですが、
医療や介護の分野への慣れもあって、結局私にお鉢が回ってきます。
電話口で、大抵こう言われるのです。
「今、このお電話(で話しているのは)は・・・?」
敢えて「二男の妻です。」と答えますが、
「〇〇さん(義両親)の、二男さんのお嫁さんですね!」
「嫁」は「息子の妻」なので、「二男さんのお嫁さん」だと
うちの息子たちの結婚相手ってことになるんじゃないのかなぁ…。
まぁ、そんな細かいことはさておき、やっぱり「嫁」という言葉に抵抗したくなる私。
「・・・はい。二男の妻です。」
否定はしませんが、その度、地味に抵抗しているのです。
「嫁」は便利な言葉だけれど
そんなこと言っている私も、勤務先のクリニックで思わず「嫁」という言葉を使ってしまうことがあります。
「H田さんのお薬について、お嫁さんからお電話です。」
「M林さんの紹介状、長女さんじゃなくてお嫁さんが取りに来られました。」
なんて風に。
もしかするとM林さん、窓口で「長男の妻です」と言われていたかもしれません。
「嫁」という言葉は、その方の義両親との続柄を表すのに便利で、
一言でパッと表現したい時、つい使ってしまうのです。
自分は地味に抵抗しているのに、これは反省しなければ。
今の時代の「嫁」という言葉は、従来のような古臭い意味で使われているのではないと思います。
その「家」に嫁いだとか、「〇〇家の女性」といった一昔前の言葉とは、
今の「嫁」は違ったニュアンスだと感じます。
けれど、そんな意味で言ってはいないと(自分が使う時もそんなこと思っていない)思っても、
「義両親や夫の所有物みたい」と反抗する自分がいます。
変なところが、母似なのかもしれません。
「所有物ではないのだから、義両親のお世話はしない」
なんて言いたいわけではないのです。
「その家の所有物」なんかじゃなくても、必要なフォローは続けるでしょう。
それは「嫁」だからじゃなく、
それぞれの家庭が、できることを助け合うという気持ちから。
わざわざ波風立てるつもりはないけれど、
スルーしてしまったら受け入れたことになってしまう気がする。
だから私は、これからもきっと「二男の妻です!」と言って
「嫁」という言葉に地味に抵抗し続けるのです。
ほんさき
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